写真集『私情』
私情
Self publish 120p
Size:210mm×148mm
Published in May 2021
時々自分が何者なのかわからなくなることがある。
自分が何を考えているのかわからなくなることがある。
そして、何処へ向かって行くのかも。
私は自分を知ることが怖かった。
自分から逃げていることを知っていた。
いずれ自分という存在は消えて無くなってしまうのだから、
何者であろうと何を考えていようとどうだっていいのだと自分に言い聞かせていた。
しかし、写真はそんな自分という存在をうつしだしていた。
写真はただ記録するためのもので、或いは鑑賞するためのものだとそう思っていた。
写真にうつる感情は曖昧で私のほんの一部なのかもしれないが、確かに「私」という存在を認めることができた。
私はずっと暗い気持ちで生きていると思っていたが、
写真を見ることで自分が暗闇の中でじっとしているだけの人間ではないことを知った。
私はただ暗い気持ちを保有し続ける傾向にあっただけなのだと。
私は写真を撮り続ける必要があるのだろう。
自分の感情を記録し続ける必要があるのだろう。
自分にはさまざまな感情があるのだといつまでも思えるように。


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